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茶色味の多いベージュとでも言えよう彼女の髪が、白い肌とそれを包む白いバスローブに良く映える。欧米の女性は、下地の化粧、詰りファンデーションを余り使わず、メイキャップをすると聞く。キャンバスに直接お絵描きをするのに似ているだろうか。兎も角、彼女の藍色のアイラインと淡いクリーム・ピンク色のリップが鮮やかであり、輝いていた。休憩室の隣の長椅子に身を委ねていた彼女は、零(こぼ)れる笑顔で、自己紹介を始めた。何故フランスからベルギーへ来たか。産まれはLoireロワール川沿いのToursトゥールで、パリにも暫く住んでいた。このクラブが如何に素晴らしいか。等々をトウトウと語った。そして、ベルギーで気に入ったのは、食べる物、飲む物、取り分けベルギービールは大好きだと言う。然らば、後程、酒類を提供しないこのクラブを出て、ベルギービールを飲みに行こうと話しが決まり、この地では珍しいルネッサンス様式の、ファサードの美しいSt-Bonifaceサン・ボニファス 聖ボニファス教会近くのビア・カフェに行った。私はWestmalle Dubbelウェストゥマル・ドブゥ を、彼女はHoegaarden Witホーガルデン・ウィットゥ を夫々注文した。私へ運ばれたビールは冷やしてはなかった。この地で、初めて常温(平常の温度、化学では15℃、気象学ではその年の年間平均気温)の、否、室温、更に正確に言えばセラーの温度のビールを口にした時、それまで日本の大手メーカーのそれしか知らなかった私には、驚天動地、顔面蒼白、茫然自失・・・・。ショックだった。それが今では、愛して止まない。口の広がった聖杯形の専用グラスに注がれ、完熟バナナの香りのするそれを口に入れると、麦芽の甘さと醸造に因るアルコールと相和す複雑で深いそれが鼻腔を擽(くすぐ)る。彼女のそれはと言うと、上広がりの六角柱に短い円筒が乗った様な、肉厚の専用グラスに、薄黄味を帯びたミルキー・ホワイトの液体にメレンゲの如きムースの被さったモノだ。グラスを持つ手の温もりが伝わり難いように肉厚のグラスを専用に用いているそうだ。ベルギービールはラベルも変われば、その味、香り、重量感、果てはアルコール度数まで変わる。『トラピストを含む修道院ビールは、その伝承のレシピに拠って造られる。』の記述を読んだ事があるが、ロマンを求める余りの誤認であろう。又、各ビールを評するときは、その醸造時期と、そのビールの扱われた履歴と、評価する側の状況を考慮する必要があるだろう。壜内二次醗酵のベルギービールの大きな醍醐味である熟成による変化は、時に筆舌に尽くし難い。話しを戻す。彼女の前に置かれたビールは、1970年の後期のこの時、柑橘系の酸味と、原料の一つである小麦の淡白質に因るものと思われるパン・ドゥ・ミーの中心部(ミー・ドゥ・パンと言う。) を連想させる香りと味があった。そして、余韻は長いものの、スッキリとした後味であった。Rebbecaのお気に入りである。確かに、ベルギーで大量消費されているピルス(ラガー・ビール:日本の大手メーカーの殆どがこのタイプ。) より味わいが有り、伝統的上面醗酵ビールの中では軽やかだ。私服のベージュのワンピースに着替えた彼女の姿に、その手に納まったビールの色が良く映える。彼女の出身地方で話されるフランス語が、フランス国の国語の標準だそうで、彼女の話す言葉も単語毎に明快で、センテンスの区切りも確かだ。ベルギー人の抑揚のある、語尾の曖昧な、愛くるしいフランス語と、それだけでも違う。いつビールを飲むのだろうと気になってしまう程、彼女の口から話しは続く。しかし、モーツアルト(仏:モザール) のピアノ小曲を聴くように心地良かった。
ボア・セレスト 港区赤坂2-13-21 清川ビルB1 Tel/Fax:03-3588-6292 E-mail: cereste@m2.pbc.ne.jp ▲
by ceresteaks
| 2007-11-21 11:00
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